【北海道ブロック】
ブロックセミナーを6月18日(木)〜19日(金)に開催
- 北海道
- ● 北海道福祉施設士会と後志社会福祉施設協議会の共催による、春季ブロックセミナーが開催されました。
北海道福祉施設士会と後志社会福祉施設協議会の共催により、春季ブロックセミナーが、6月18日(木)〜19日(金)の2日間にわたり、78名の参加者を得て、北海道札幌市「定山渓ビューホテル」にて開催された。
今回の研修会は、今年度の北海道福祉施設士会総会において、事業計画として承認された「人間が生活し、活動していく上での根源である『食』について取り組んでいきたい」との趣旨に沿っての研修であった。
施設の種別、形態を問わず、食べる楽しみ、健全な食生活、教育的な立場からの食育、安心・安全な食品など、食に関する意識をあらためて各業種の中で考え、共有していくとともに、広く衛生管理、食中毒対策、感染症対策等を含めた観点からプログラムを編成した。
はじめに、広瀬清藏会長から、日本福祉施設士会の動向と社会福祉業界の現状、国の社会福祉に係る補正予算の進捗状況等広範囲に渡る基調報告・講演を行った。
次に、北海道保健福祉部保健医療局健康安全室健康づくりグループ(健康増進)主査の佐々木幸子氏から、施設の栄養管理について講演をいただいた。また、同部施設運営指導課法人運営グループ主査の岸下誠氏から、新型インフルエンザに対する社会福祉施設としての取り組みについての講演をいただき、大いに参考となった。
続いて、日本福祉施設士会広報委員長(広島県・社会福祉法人慈楽福祉会理事長)の後藤忠啓氏により、「食から施設運営を考える」と題した講演をいただいた。また、札幌市在住で日本栄養士会元副会長の古水扶美子氏の進行により、「施設における食について」をテーマに、保育所関係、老人福祉施設関係、障害者福祉施設関係、児童養護施設関係から、4名の栄養士を発表者としたシンポジウムを行った。その後、古水氏より「明日の可能性は今日の食事にあり」と題した講演をいただき、セミナーの幕を閉じた。
また、このたびのセミナーには、日本福祉施設士会副会長の志賀俊紀氏に、遠く長崎県からご臨席賜り、貴重なご発言およびご提言を頂戴し、本セミナーを盛り上げてくださったことに感謝申しあげる。
以下、本セミナーの概要を報告する。
「基調報告・講演」
北海道福祉施設士会 会長 廣瀬 清藏
(要旨)
平成21年度の補正予算は、戦後最大の13兆9千億円となった。そのうち厚労省関係は4兆7千億円を計上し、子育て支援に2,800億円、介護職員処遇改善に4千億円、基盤整備等に3千億円の補正予算がついた。介護報酬も増額となったが、過去2回の減額改定があり、それらの対応で職員への還元にはなかなか繋がらないとの声も聞かれる。私の法人では介護保険施設の増収分を全職員に支給する方針であるが、増収額について未確定な部分が多く、当初の配分予定額より下回る見通しである。
全国里親会会長の立場として申しあげると、この度の児童福祉法の改正による里親制度の見直しで里親手当が引き上げられたものの、日本の将来のためにも、子育て支援への予算が増えることを切望する。
法人運営については、人材確保と養成を柱に特に介護施設の職員不足が社会問題化している。退職金制度や福利厚生の充実、中でも育児休暇、介護休暇制度など職員が定着しやすい環境整備も必要である。また、給与体系の見直し(労働配分率など)も含めて、より魅力ある職場づくりが必要かと考える。
今研修会のテーマである食事は、健康の源であり、心の健康の源でもある。施設利用者にとって、一番の楽しみは食事であるとも言われている。本研修が、それぞれの施設が取り組んでいること、食を通して伝えたいことを研鑽する場となることを願っている。
講演T 「特定給食施設等の栄養管理について」
北海道保健福祉部保健医療局健康安全室健康づくりグループ(健康増進)主査 佐々木 幸子 氏
保健所勤務、福祉施設での現場指導などを通しての経験から、現時点の栄養士業務に係わる講演が行なわれた。
平成15年施行の健康増進法と旧来の栄養改善法の比較について、社会背景、目的、定義、内容、栄養管理の狙いを側面から説明された。次に、特定給食施設等における栄養管理基準について、@身体の状況、栄養の状態等の把握、食事の提供、品質管理及び評価、A食事の献立、B栄養に関する情報の提供、C書類の整備、D衛生管理、また、特定給食施設の栄養管理の考え方として、@運営のための組織、A喫食者の栄養状態のアセスメント、B栄養計画、C実施、D評価、E改善 についての説明があり、今後は各施設より栄養報告の提出をいただき、施設種別による課題、地域性を分析し課題を見出していきたいと考えており、ご協力をいただきたいとのことであった。
講演U 「社会福祉施設における新型インフルエンザ対策について」
北海道保健福祉部施設運営指導課法人運営グループ 主査 岸下 誠 氏
このたびの講演は、日本を含め世界中が新型インフルエンザ対策に苦慮しており、このたびの研修で是非とも福祉施設における対策の話をさせていただきたいとの要請と、施設側としても、インフルエンザの情報を得たいと言う経緯により実現した。
講演では、インフルエンザの対策が急務となっていることと、次々と発出されている関係文書について説明が行われた。さらに、新型インフルエンザの発生を未然に防ぎ職員を介してウイルスを持ち込まないよう、日頃から健康管理等に留意し、施設内の感染防止の徹底をお願いしたい、と話された。
講演V 「『食』から施設運営を考える」
日本福祉施設士会広報委員長(社会福祉法人慈楽福祉会理事長) 後藤 忠啓 氏
当法人は老人施設関係のみの経営であり、また、専門知識があるわけでもないので、その旨ご了解いただきたいと前置きされ、講演に入られた。
また、介護保険制度上の食について、経営者としての立場からの提言もいただき、福祉施設における食に関する事柄を幅広く話され、大変意義深い講演であった。
(要旨)
入所されているお年寄りに、施設の生活で何が一番の楽しみですか、と尋ねると「食べること」との返事をいただく。このように、食事は大事なことであるが、今まで大きなテーマになっていなかった。
当法人の施設では、月1回職員の懇談会を行っている。その中で、栄養士が食事の話をすると、利用者の意見が多く出てくる。食べたい物についての意見、味付けについての意見等、関心の高さがうかがえる。食事は生命に係わることであり、昨今は食品偽装や汚染米問題など、憂慮することが起きている。安全は何にも増して重要なことである、という認識を持つことが重要である。
施設における食事では、口の中に入るまでのプロセスが大切である。適温による食事提供が理想であるが、多くの施設におけるこれまでの方法は、厨房で作ったものを配膳車に積んで、沢山のお年寄りが待っている食事場所まで運び、一斉に食べ始める形態であった。食事を美味しく召し上がっていただく秘訣は、できたてを提供することにある。施設では様々な工夫がされてきたが、私はお年寄りが食事場所に来られた後に食事を出すのが一番良いと考え、食堂での時間帯を設定し、椅子を少なくして食事形態を変えた。この結果、温かい物は温かく、冷たい物は冷たく食べられるようになった。
調理業務担当職員は、施設の配置基準では、例えば入所定員50名から140名までの場合、常勤職員3名、非常勤職員1名となっており、理解に苦しむところである。今後とも検証したい課題である。
シンポジウム「施設における食について」
(進行 日本栄養士会元副会長 古水 扶美子 氏)
●発表T(保育所関係) 札幌市宮の森保育園 管理栄養士 三木 啓子 氏
「保育園の食を考える〜子供たちにどのように食を伝えられるか〜」と題して発表をいただいた。保育園での給食は、手を洗う等の衛生面、栄養と健康面、挨拶や仲間と食べる社会面等、規則正しい生活習慣を身に付けるための食育の第一歩と位置付け、@保育園の給食、A乳幼児期における食事の課題、B食事を楽しむ子どもになるために、という視点から話をされた。栄養士として、子どもたちが楽しく食べられるように食の喜びを伝えたい、保育士や家庭とも密にコミュニケーションをとり、子ども1人ひとりの発達段階にあった給食を提供できるよう努力したい、と結ばれた。
●発表U(老人福祉施設関係) 真狩村特養真狩羊蹄園 栄養士 野々村 都子 氏
「特養・真狩羊蹄園の取組みについて」と題して発表をいただいた。施設給食の概要について話された後、食の楽しさを伝えるための行事食、余暇と食の関係、ボランティアの中での食、園内喫茶、料理クラブ、手作りおやつ等について説明がされた。また、利用者様の希望に沿った個別の対応、減塩等健康を考えた取り組み、給食サービス等地域とのつながり、いざというときの非常食について等、広範囲にわたって施設の給食に対しての取り組みの話をいただいた。
●発表V(障害者福祉施設関係) 苫小牧市知的障害者更生施設 青雲 栄養士 鈴木 芳美 氏
@障害者施設としての献立表の工夫、A偏食の傾向分析、B障害特性と食事の特徴、C在宅(利用者)からの食事について、D肥満と低栄養、E生活習慣病、生活機能低下と基礎代謝、F食生活の改善と効果のケース、G職員配置と調理内容、Hグループホーム、ケアホームとの関係、I嗜好調査アンケートの傾向分析と献立の工夫等について、青雲の取り組みと改善に努めている現況をお話しいただいた。
●発表W(児童養護施設関係) 蘭越町北海愛星学園 栄養士 高橋 千恵 氏
北海愛星学園の紹介に始まり、食育指導の考え方、施設の取り組み事例、食育について、を柱として同学園における取り組みを話された。その中で、児童の入所理由は様々であるが、養護不適当や、虐待児童では生活習慣の乱れ、食生活の乱れが必ずあること、またそれらに対応する取り組みが紹介された。さらに、小学生中心の活動「もぎたて市食育体験」について説明され、地域の人達との交流や生産者と係わることによる意義を話された。最後に、子どもと話す機会を多くした結果、その中から、「栄養一口メモ」、「ビデオ作製」、「栄養カルタ」等の取り組みが生まれたこと、今年は、「栄養標語」、「栄養すごろく」に取り組んでいきたいということを話された。
講演W 「明日の可能性は今日の食事にあり 〜食はヌチグスイ(命薬)である〜」
日本栄養士会元副会長 古水 扶美子 氏
講演は、(1)心の芽生え期である乳幼児期の食育について(@マイナス1歳からの食育、A共育で育つ子供の心、B問題行動にみえてくる食生活の陰)、(2)加齢は芳醇なワインのように(@感謝で高まる栄養効果、A美味しさは命に対する手応え、B自分のことを好きになり、大切にしよう)、(3)典座教訓にみる給食者の心得(800年前・道元禅師による)を括りとして進められた。
幼児期における食事は大事なことであり、食べることにより人間が完成されていくこと、問題行動は淋しさや愛情不足等の現れであり、食生活のとぼしさが原因の1つであると指摘された。
最後に、道元禅師の「典座教訓」に基づき、給食者の心得を話された。「調理・食事の最終目的は人格形成、連帯意識である」と話され、「喜心―喜悦の心なり〜人間完成の原動力となる食事を作ることは喜ばしい」、「大心―寛容と慈悲の心なり〜大山、大海にして偏りない食事を作る」、「老心―父母の心なり〜食事を作るに一つ一つ子供を養うような心を持て」と話され、「ミラーの法則」に基づき、「私が笑えばあなたも笑う、の気持ちで接していただきたい」とまとめられた。
(文責 北海道福祉施設士会事務局)
【九州・沖縄ブロック】
ブロックセミナーを6月25日(木)〜26日(金)に開催
- 大分県
- ● 大分県福祉施設士会の主催による、第20回九州・沖縄ブロックセミナーが開催されました。
第20回九州・沖縄ブロックセミナーが、6月25日(木)〜26日(金)の2日間にわたり、91名の参加者を得て、大分県別府市「ホテルサンバリーアネックス」にて開催された。
制度改正に伴う競争激化により、社会福祉を取り巻く環境変化は著しい。また、政権交代の可能性のある総選挙が間もなく行われる中で、障害者自立支援法の一部改正案も廃案となり、福祉施設を預かる者として気の抜けない日々が続いている。
我々は、福祉施設経営の専門の職能集団として、人材育成、人材確保、ガバナンスの確立、健全経営に努め、更に成長し続けられるよう努力しなければならない。そこで、今回のセミナーでは、多面的な視点で福祉施設のあり方を探っていただく機会として、施設長としての知恵を活かし、それぞれが元気で快適な施設づくりのために行動し、実現に向かう機会となるよう、「自立し、自律を目指す福祉経営」をテーマとした。
開会式では、大塚恭弘大分県福祉施設士会会長より歓迎の挨拶を行い、ご来賓として、大分県社会福祉協議会会長大津留源氏、日本福祉施設士会会長森田弘道氏にご臨席賜り、代表して大分県社会福祉協議会会長大津留源氏よりご祝辞をいただいた。
開会式終了後、森田会長の基調講演を皮切りに、熊本県立大学総合管理学部教授の石橋敏郎氏に、認知症の人と家族の会大分県支部会員の足立昭一・由美子ご夫妻にご講演をいただいた。
初日の研修終了後に行われた交流会にも多くのご参加をいただいた。
2日目は、株式会社大分フットボールクラブ代表取締役社長の溝畑宏氏にご講演をいただいた。
終了後、閉会式を行い、次期開催県の宮崎県から清水珠香子宮崎県福祉施設士会会長ほか実行委員会メンバーが登壇のうえご挨拶いただき、盛会のうちに終了した。
石橋敏郎氏、足立昭一・由美子ご夫妻、溝畑宏氏の講演の概要は下記のとおりである。
講演T 「21世紀、福祉新時代の到来。保健・医療・福祉関係者に何が期待されているのか」
講師:熊本県立大学総合管理学部 教授 石橋 敏郎 氏
「保健・医療・福祉サービスの基本はなんといっても人材」という視点から、どのような人材を求めるとよいのか、という点についてご講演をいただいた。
人は、置かれている環境の中でどれだけ努力できるか(やる気があるか)が大事で、判断力や優しさがなければ福祉の仕事はできない。また、ストレスの発散が出来る人でなければ働けない。
また、採用試験については、@採用試験で論文を実施するとよい、A面接でその人の人間性を見るとよい、という2つのヒントをいただいた。これらにより、その人の器を図り、器が大きければ、指導者によって、いくらでも人は変われるということである。
我々の仕事は正しい答えが1つとは限らない。様々なアイデアを出す人材が必要なのである。そのことを踏まえた採用を行うことが大事である。これにより採用する側の力量も問われる、との講演であった。
講演U 「若年性認知症を生きる−夫婦の絆と完治への挑戦−」
講師:認知症の人と家族の会大分県支部会員 足立 昭一 氏・足立 由美子 氏
足立昭一氏は2001年2月、52歳の時、バドミントンを通して出会った由美子氏と結婚。2005年頃から体調に異変をきたし、2006年アルツハイマー病と診断された。2007年3月に市役所を退職。現在は、1ヶ月に1回通院し、服薬されている。足立夫妻には、ウォーキングを通して、『足立昭一型認知症』と共に生きながら、「認知症完治1号」を目指す取り組みについて講演いただいた。
足立夫妻の絆の強さや、寄り添いながら人生を送られている関係は、我々福祉サービスを提供している者として、お客様やその家族との絆、寄り添う支援ということにおいて共通するところであり、その原点を改めて確認することができた講演であった。
講演V 「ゼロから夢の実現に向けて」
講師:株式会社大分フットボールクラブ 代表取締役社長 溝畑 宏 氏
幼少期時代から進学・就職を経て、現在の大分トリニータまでの経緯をふまえつつ、人の成長について、ポイントを押さえながら講演いただき、会場では皆が真剣に講演に耳を傾けていた。
講演の中では、人の成長は50%が家庭で決まること、リーダーシップは「ついて来い!」ではなく「背中を見てついてくる!」ということ、言い換えれば「リーダーが夢を持っていなければ部下も夢を持てない。」ということ。また、「競争するからには負けるな!負けてもチャレンジを続けることが大事である!チャンスは皆平等にある!」とのお話をいただいた。
以下は、印象に残った溝畑社長の言葉である。
- 努力している人は他人を誉めることができるが、努力していない人は他人を妬む。
- 人は能力の前では頭を下げないが、努力の前では頭を下げる。
- 初めの一歩が大事で、リーダーは1日1日少しでも進捗していなければならない。このことを部下は見ている。
- 他人に喜び、感動・幸せを与えることに軸がある。
- その人の身の丈は他者が決めるのではなく、その人自身が決める。(器が人を育てる!)
- プロジェクトを遂行するには、@リーダーの決定A理念の決定B時限の決定という3つの決定が必要である。
(文責 大分県福祉施設士会事務局)